イタリアでの経験で学んだこと
類稀な感性でニットの可能性を追求し続けるブランド、everlasting sprout。そのデザイナーとして活動する村松さんは、クラウンという会社の代表取締役となり様々なニットの企画や生産を請け負っている。ニットデザイン科を卒業したと同時に、文化服装学院を通じてイタリアの糸の会社にデザインチームのアシスタントとして参加した経験を持つ村松さん。そこでは主にコレクションブランドにデザインの提供、色や技術の使い方などを提案する業務を行っていた。実際そのプロジェクトに参加した期間は3ヶ月ほどだったそうだが、その3ヶ月間の経験はかなり大きなものになったという。「文化在学中に技術と知識はすごく叩き込まれるので、イタリアで覚えた技術と知識ってほとんどなくて、作り方と見せ方、簡単に言うと表現方法を学んだって感じですかね」。
ブランド立ち上げと同時にBFBへ入学
1年ほどして帰国し、同時にブランドを立ち上げた。さらにBFB(文化ファッションビジネススクール)に入学。ブランドを立ち上げながらなぜまた学生に? と不思議に思うが、「学生をしながらブランドをやろうと思ったのは、会社経営や服作りについてまったく知らない立場だったので、所属していた方がいいと思ったのと、学校の設備を自由に使えるっていうのも魅力だったんですよね。特にニットはミシンだけでは作れないので。在学中に服を作ってブランドとして形を作ろうと思ったんです」と村松さん。そこからコレクションをスタートして現在までに12シーズンを終えている。ブランドがある程度形になったのを機にBFBを1年で修了。そしてeverlasting sproutは本格的にファッション業界に進出していく。
未開拓なニットに可能性を感じて
ニットを専門に扱うブランドということだが、そもそもなぜニットに興味を持ったのだろうか。「文化で服について勉強しているうちに、たまたまおもしろいと思ったのがニットだったんです。可能性を感じたんですよね。古いもの、刺繍やレースなどの手工芸ってほとんどニットの技術で、未開拓だなって思ったんです。ニットには色んな表現方法があるのに、そのおもしろさが世の中にすべてあるわけではないと思ったし、色んなことをやってみたいなと思ったんです」。デザインをする際には、基本的に自身の体験すべてをデザインに落とし込むという。過去の体験や、見たもの、聞いたもの、読んだものなど、村松さんの日常、日々感じているものすべてが服作りのヒントとなっているようだ。