レディースの服作りから、バッグの世界へ
1935年の創業以来、多くのファンを増やし続けている株式会社 吉田。"ポーター"や"ラゲッジ レーベル"のバッグや小物類は国内外で絶大な人気を博している。その商品のデザインを手掛ける松村さんは、企画部・国際部に属し、幅広い仕事を手掛けている。「主な仕事の内容は、年2回の展示会へ向けての商品企画です。ほかにも、海外のショップと別注アイテムを作る場合のやりとりや、通訳を必要とする仕事のときなどにも関わります」。ロンドンでの留学時に、企画部で英語を話せる人材を募集していた同社に応募し、見事採用が決まった。入社後、留学経験は大いに役立ったという。しかし、文化時代からロンドンの留学時に学んだのはレディースの服作り。バッグを専門的に学んだこともなく、入社当時はかなり大変だったそうだ。
初めての展示会で学んだこと
入社し、研修後すぐに11月の展示会に向けた商品を作ることになった松村さん。「右も左もわからない状態で、自分の作りたい商品を企画し、プレゼンすることになって(笑)。上司から部材の仕入先から、生地はここに電話してとか、職人さんはここにいるから…まで、体で覚えていくような感じでした」。今までのすべてをがらりと変えられるようなそんな感覚だったという。「ずっと服を作ってきたので、どうしても服がベースでバッグを作っていたような気がします。コンセプト重視にもなりがちでした。それが、初めての展示会に自分の商品を出させてもらったことで、バッグに対する考え方、縫い方、使う素材の違いも感じました」。先輩が作っているものを見たり、上司から考え方の指針をもらったりしていくうちに、少しずつ松村さんの中で意識改革につながっていったようだ。
やりがいを感じ、常にアンテナを張って
展示会ごとに様々なシリーズの新作を発表するため、企画部の11人はそれぞれ作りたいものを毎回プレゼンするという。それらを調整し、発展させ、バランスを取りながら新作は誕生していくそうだ。「カジュアルラインもビジネスラインも分けないで、デザインを手掛けています。そうすることで、みんなが常にアンテナを張っているような状態が保たれているのだと思います」。展示会の商品のみならず、別注企画も多いという。「アパレルブランドを始め、多業種に渡って関わることが多く、いろいろな考え方が見える位置にいるので、とても勉強になるし、やりがいがあると思います」。