文化出身、次世代クリエイターたちのつながり Next!

株式会社 吉田 企画部・国際部 松村 力弥 1981年生まれ。東京都出身。2002年服装科卒業後、ロンドンへ留学。マランゴーニ学院ロンドン分校にてウィメンズデザインを学び、2005年7月帰国直前にロンドンより株式会社 吉田の求人募集に応募し、採用が決まる。帰国後、ショップスタッフとして「クラチカ ヨシダ 表参道」にてアルバイトを始め、2006年4月より正式に企画部・国際部へ配属となりバッグ類のデザインを担当する。

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marmelo エディター 秋山 美紀子

文化服装学院卒業後、文化出版局へ入社。「装苑」の編集者を経て独立。独立後も「装苑」誌上にて「ニューカマー」のコーナーを連載するほか、さまざまなファッション媒体で活動中。また「ウェブセレクトショップマルメロ」のオーナーや、ファッション学校やセミナーの講師も行なっている。

マルメロの公式サイト

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株式会社 吉田 企画部・国際部 松村 力弥

留学経験を生かした仕事とバッグの新たなデザイン提案を目指して

次世代のファション業界を支える、文化の若手卒業生を紹介する企画「Next!」。今回ご登場いただくのは、

レディースの服作りから、バッグの世界へ

1935年の創業以来、多くのファンを増やし続けている株式会社 吉田。"ポーター"や"ラゲッジ レーベル"のバッグや小物類は国内外で絶大な人気を博している。その商品のデザインを手掛ける松村さんは、企画部・国際部に属し、幅広い仕事を手掛けている。「主な仕事の内容は、年2回の展示会へ向けての商品企画です。ほかにも、海外のショップと別注アイテムを作る場合のやりとりや、通訳を必要とする仕事のときなどにも関わります」。ロンドンでの留学時に、企画部で英語を話せる人材を募集していた同社に応募し、見事採用が決まった。入社後、留学経験は大いに役立ったという。しかし、文化時代からロンドンの留学時に学んだのはレディースの服作り。バッグを専門的に学んだこともなく、入社当時はかなり大変だったそうだ。

初めての展示会で学んだこと

入社し、研修後すぐに11月の展示会に向けた商品を作ることになった松村さん。「右も左もわからない状態で、自分の作りたい商品を企画し、プレゼンすることになって(笑)。上司から部材の仕入先から、生地はここに電話してとか、職人さんはここにいるから…まで、体で覚えていくような感じでした」。今までのすべてをがらりと変えられるようなそんな感覚だったという。「ずっと服を作ってきたので、どうしても服がベースでバッグを作っていたような気がします。コンセプト重視にもなりがちでした。それが、初めての展示会に自分の商品を出させてもらったことで、バッグに対する考え方、縫い方、使う素材の違いも感じました」。先輩が作っているものを見たり、上司から考え方の指針をもらったりしていくうちに、少しずつ松村さんの中で意識改革につながっていったようだ。

やりがいを感じ、常にアンテナを張って

展示会ごとに様々なシリーズの新作を発表するため、企画部の11人はそれぞれ作りたいものを毎回プレゼンするという。それらを調整し、発展させ、バランスを取りながら新作は誕生していくそうだ。「カジュアルラインもビジネスラインも分けないで、デザインを手掛けています。そうすることで、みんなが常にアンテナを張っているような状態が保たれているのだと思います」。展示会の商品のみならず、別注企画も多いという。「アパレルブランドを始め、多業種に渡って関わることが多く、いろいろな考え方が見える位置にいるので、とても勉強になるし、やりがいがあると思います」。


手掛けた商品のデザインポイントを説明する松村さん。あったら嬉しいデザイン機能が随所に隠されているバッグは人気が高い。


パソコンでの作業も多い松村さん。細かなデザイン画の修正は、よりよいバッグの完成を目指して、丁寧に行なわれる。

華やかさだけではない、デザインの仕事

企画部の仕事は、一見華やかに見えるデザイン作業が軸かと思いきや、その内容は多岐に渡る。上記でも触れたように異業種の企業やブランドとの別注企画は一年を通して多数進行しており、コラボレーション商品などに関しては、商品企画や生産手配だけでなく検品や発送も自分たちで行なっている。「外部の方との打合せも多いので、コミュニケーション能力も大事です。コラボレーション商品の場合は、打ち合わせをしているその場で先方の要望やイメージに最も合った作り方やアイディア、素材などを提案できなくてはいけません」。デザインするだけでなく、様々な角度から商品を作り上げていく松村さん。今は遠い未来のことよりも、目の前のことを確実に発展させていきたいそうだ。「社内での内見会のときにはすでに次に作りたい商品が見えてきています。それに対して、自分はどういうものが作れるかという視点の方が今は強いですね」。

学生時代に多くのものを吸収して

文化の学内で一番よかったところは図書館だったという松村さん。「社会に出たら、好きな資料をあれだけ見られる環境はないので、ぜひ活用してほしい。様々な国の服飾文献や歴史書まで幅広く揃っているので、インスピレーションの基になります」。また学生時代の松村さんは、服が好きでいろいろな店へ行ったという。「古着屋から大手百貨店まで、とにかくいろいろなものを見てと伝えたい。今はネットで画像検索もできますが、これがどういう質感で芯がどういうふうに入っているかなどを知るには、見て触ることが大事。ぜひ自分の足で見つけてください」。松村さん自身も、まだまだ奥深いバッグの世界を学び続け、新たな提案へと進んでいきたいそうだ。
※この取材内容は2011年1月時点のものです。


展示会で受けた意見や指摘をもとに修正を加えることも。メジャーを使って、細かにチェックを入れる。


素材選びは、バッグの重要なポイントになる。候補となるファブリックから様々な素材を選定していく。


(左)インスピレーションが浮かんだら、すぐさまデザイン画に起こす。パソコンを使うだけでなく、手描きのデザイン画も多い。
(右)ペンケースはもちろんポーター。仕事の内容に合わせた様々なペンが入っている。


(左)学生時代から愛用している定規の数々。
(中)小さくてまっすぐ張りのあるメジャーは建築現場用のものだそう。絶対にこれがいいと太鼓判!すでに3代目のもの。
(右)ノート&ポーターのペンケースがすべての仕事の基本道具


(左)アウトドアやスポーツウエアに用いられる、熱圧着によるファスナーの溶着技術を取り入れたシリーズ。"ポーター フューズ"ウエストバッグ(S)¥12,600
(中)キャリーバーに通せるポケット付きのビジネスシリーズ。オリジナルのセミオートマチックロックスライダーを使用。"ポーター ブラウズ"2WAYブリーフケース(L)¥17,850
(右)PC収納ポケットが備えられた仕様。軽量化と撥水性を兼ね備えた高機能素材も特徴。"ポーター デュオ"デイパック¥33,600

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