メーカーがデザインしたものを形にする
デニムのOEMを請け負う会社で営業として働いている中嶋さん。そもそもOEMとは『相手先ブランド生産』ということである。具体的にはどんな仕事なのかと言うと「簡単に説明すると、自社ブランドを持っているのではなく、取引先のメーカーさんがデザインしたものを形にする仕事です」。取引先メーカーから依頼された漠然としたデザインイメージを形にするべく、メーカーと製造工場との間に入り、イメージに沿った製品を作り上げる。生地から縫製、糸の種類、釦などの付属品を決めて、ある程度の物が出来上がったら、二次加工と言われる段階に入る。加工工場に持っていき、デザイナーのイメージに合う加工を施し、第一段階で上がったものを提出。そこで納得するか修正するかによってサンプルを繰り返し展示会へ、という流れだ。
営業の仕事で生かされるパタンナーとしての実績
デニムの仕事をしているだけあって、中嶋さんはもともとデニムが好きだったのだそう。「一番最初にファッションに興味を持ち出したのが中学生くらいの頃で、それがデニムだったんですよ。そこから色んなジャンルのものに手を出しつつ、進路を決める時に、洋服の道に行きたいなと思ったんです。それで文化に入学して今に至っています」。文化のアパレル技術科を卒業後現在の会社に入社。しかし入社から4年間はパタンナーとして働いていたという。「パタンナーとして4年の実績を積んだことは、もちろん今の営業という仕事になってからかなり役に立っていると思います。物を見ながらはもちろんですし、大体のことは部分的に口で説明されても構造がわかるので理解できます。なので最初の技術職で培った時間は決して無駄ではなかったですね」。
相手のリアクションを直に感じ取ることが楽しい
パタンナーという技術職を経て、営業という仕事をすることに全く抵抗は無く、むしろ今の仕事を楽しんでいる様子の中嶋さん。「どうしたらより良いものができるかという事に頭を使っている時間が楽しいですし、社外の人と話す機会が格段に増えたのもよかったです。黙々とやる作業も好きですけど、例えばサンプルなんかは郵送で送ってしまえば特に問題はないんですけど、それを持って行くことで、相手がどういうリアクションをするのかを直接見ることができます。相手がうまく言葉で表現できないところも汲み取れるように、会いに行って打ち合わせをするという作業がすごく楽しいですね」。そして消費者であるお客さんからの反応がよかったという話を聞くのが、営業の醍醐味だという。