コスチュームにまつわる幅広い業務を担当
日本が誇る演劇とミュージカルの殿堂「劇団四季」で、コスチュームのプロデュースを担当している古田七瀬さん。ひと口にコスチュームといっても、衣裳だけでなく小物や靴に至るまで、身につけるもの全般に携わっており、ときには舞台裏で衣裳の早変えのサポートをするなど担当業務は幅広い。「演目によっては劇場に常駐し、衣裳の準備や片づけ、クリーニングなどを行います。特にダンスパフォーマンスのある演目では、衣裳がやぶれたりペイントが薄くなったりしやすく、毎日メンテナンス作業に追われることになります」
場面に合ったリアルな衣裳作りを
取材に伺ったときは、東京の四季劇場[秋]で公演されている“ウェストサイド物語”の準備の真っただ中。古田さんは色とりどりの衣裳が置かれたコスチュームルームで、2名のスタッフとともに作業を行っていた。「今回は再演なので、新しく衣裳を作るというよりは、既存の衣裳の染め直しや修繕、サイズ直しをメインに行っています」。また、ストーリーや役柄に合わせて、衣裳にリアル感を出すのも大切な仕事のひとつ。「新しいシャツを購入したときなどは、洗いをかけたりベージュに染めたりして、わざと着古した感じを出すのはコスチュームならでは、です」
舞台衣裳ならではのさまざまな事情
デザイン画を元に素材を選び、自らミシンを踏むこともあれば、外部の職人に縫製をオーダーすることもあるなど、衣裳制作のやり方は演目によってさまざま。「まず生地選びをするところから、衣裳制作が始まります。イメージ通りのものがない場合は自分たちで染めたり、既製品に加工を施したりします」。さらに、コスチューム担当を悩ませるのが“照明”の影響。「照明ひとつで、衣裳が全然違って見えるものです。例えば、明るい照明の下ではピンクも白に見えてしまうので、客席から衣裳がどう見えるかを常に考える必要があります」